情報の利活用の手順
まずは目的から
情報の利活用を考える場合、二通りのパターンがあると思います。
一つめは、まず利用目的から考えていくパターン。
二つめは、興味あるいろいろなデータを収集し、いろいろと分析しているうちに発見するパターン。
一つめの「利用目的から考えていくパターン」は、目的に沿った情報を集め、さらに必要なデータをフィルターにかけるため、人材不足や高価な分析ツールをわざわざ調達せずに分析が可能なため、コンパクトに情報を利活用したい中小企業向けと思います。
この場合「ゴール」から考えます。
たとえばお料理で言うと、メニューと材料のような関係です。
カレーを作ると決めた場合、インド風カレーにするかフランス風カレーにするか、また、材料を切り口とするとビーンズカレーにするか、ベジタブルカレーにするか、ビーフカレー、チキンカレー等々いろいろなメニューが浮かんできます。
そのために必要な情報=材料は、素材に適した必要な香辛料とその配合 × フォンドボーなどのスープの違い × 材料そのものによる違い × 組み合わせ、
になると思います。
二つめの「興味あるいろいろなデータを収集し、いろいろと分析しているうちに発見するパターン」。
これはどちらかというとBIGデータの扱いとしてデータ量も相当多く、専用のソフトや専任の人材も必要になります。
たまに、一つめの「利用目的から考えていくパターン」の分析からも、想定外の発見があったりします。
お料理で言うと、その日の気分で○○を入れたら美味しくなった、といった発見も日常のなかではよくありますよね。
では、これを経営に見立てて考えてみます。
たいていの目的は、
・企業の業績を上げるため、
・よりお客様のニーズにフィットした商品やサービスを提供したいため、
・ひいてはお客様に喜んでいただきたいことが、
一番上にある「ゴール」だと思います。
もう少しブレークダウンして考えますと、
・
環境変化を捉えた経営課題に早く気付くため、
・ 既知の課題を早期に解決するため、
・ マーケティング観点から お客様も気づいていないニーズやシーズなどを抽出して製品化・サービス化につなげるため、
といったことが目的になっています。
たとえば、POSのデータから
スーパーマーケットで、赤ちゃんのおむつとビールが一緒によく売れることは有名です。
その理由は、お休みの日にパパが赤ちゃんのおむつを買いに行って、ついでにビールを一緒に買ってくる、 というパターンが多いことを示唆しています。
そうなると、売り場のレイアウトを考える時、おむつの近くにビールを配置しておくと、探す手間が省け、さらに売れる、ということになります。
ネット上でも、Amazonでお買い物をすると、「購入する商品と合わせてこんな商品はいかがですか?」 といったお誘いがあります。
この場合、商品ごとの購買履歴からどれとどれを一緒に買っているか、また他のどのような似た商品と比較して購買に至っているか、そしてカートに入れたままになっていて、なかなか購買に至らない商品について、「お買い忘れはありませんか?」のメールを配信し購買を促したうえ、購買に至らなかった商品の類似や金額の変更情報も活用されています。
購買には関係ありませんが、Facebookでも「この方はお友達ではないですか?」とか、「○○さんはFacebookを使い始めました。お友達を紹介しましょう。」
などといった表示がされます。これも人と人の関係性を、アルゴリズムを使って表しています。
中小企業の場合、ここまでできないよと思われる企業様もいらっしゃるかもしれませんし、すでに手を付けられている企業様もいらっしゃるかもしれません。
中小企業の場合、商圏が限定される場合が多く、自社の取り扱う商品やサービスの購買履歴から、ニーズや個客のためのより深いおもてなしにつなげることができます。生産加工業であれば、たとえば製作履歴の活用から無駄のない原材料の節約が考えられます。
BIGデータとまでいかなくても、自社のデータでも十分いろいろな目的に使えます。
たとえば、売れ筋商品の特定、デッドストック、生産調整、お客様の潜在的要求等もお問い合わせから導き出すことができます。
自社に蓄積されるデータを、上手に利用しない手はありません。
特にそれに特化したアプリケーションを使わずとも、データ量にもよりますがEXCELでもAccessでも十分です。