攻めのIT
「攻めのIT」、「守りのIT」 という言葉がよく言われています。
では、「守りのIT」 とは、どのようなことができている状態をいうのでしょう。

- ITによる業務効率化 ・ コスト削減
一番大きい効果は、データの一元管理を通して業務フローの見直しが進むことで、無駄や非効率が見え、業務の効率化が進むことです。そのことで、ゆとりのできる人財を他の業務へ振り分けることができ、コストの削減ができます。
- 未ITによる業務効率化 ・ コスト削減
ITを使うと効果の高い業務分野のIT化を推進することにより費用対効果を高めることですが、合わせて考えておかなければいけないことは、それを使いこなす人財のことです。現場の人たちが、なるべく本来の業務への影響を少なく使いこなせるか、といったことの配慮が求められます。
- 定型的なシステム更新サイクル
経営をめぐる環境が目まぐるしく変わっている時代において、現在のシステムを保持するだけでよいとする考えは、業務プロセスもずっと今のままでいい、と言っていることと同じことになってしまいます。
本当に変わらなくていいんですか?
- プライベートクラウドの導入のため
クラウドの環境も昨今大きく変わってきて、業務の内容に応じてハイブリッド・クラウドの利用も増えており、コストダウンの選択肢も増えています。
- 法規制対応のため
2015年10月から個人番号が届くそうですが、マイナンバー制度への対応もそうですね。
罰則もありますから、真剣な取り組みが求められます。
- 売り上げが増えているか
取得した情報の利活用やWEBを活用した取引により、商圏の範囲が大きく変わることにより売上に結び付いていきます。
- 利益が増えているので投資する
目的を持って投資しているかということが、利益にも大きくつながっていきます。
- 会社規模が拡大したために投資
後追いの投資ですね。計画があっての投資と、追加の投資は一本芯があるかどうかの違いにもつながります。
では、「攻めのIT」 とはどういった事が実現できる状態のことを言うのでしょうか?

- ITによる製品やサービス開発強化
ITによる製品やサービス開発強化については、『 モノ 』 に人口知能やインターネットにつながる機能を持たせて、利便性を上げたり商品価値を高めたりすること、が言われています。 例えば、体重計や血圧計に通信機能を持たせ、スマートフォンやPCと連動させ自動的に記録し、医師や家族とも情報を共有することで、健康管理や予防医学にも役立てたり、といったことがあります。
- ITを活用したビジネスモデルの変革
これは難しいですが、ITによって従来の業務フローが変わるだけでなく、新しい付加価値を生んだ違うビジネスモデルを生む場合のことを指します。通常、会社の業務の効率化を図るとき、業務フローの棚卸から始めます。
ITを利用した業務フローを考えるなら、従来の業務フローをそのままの形でIT化するのではなく、効率化は当然のことですが、何らかの付加価値を生むことを考えます。
- ITによる顧客行動・市場の分析強化
BIGデータの利活用などがあります。2015年はマイナンバー制度の関係もあり個人情報保護法の法律が改定されます。
実際どの程度個人を特定できないように加工することができるのか、どういった目的でなら使うことができるのかが注目されます。
試算によると、これらのデータの利活用で、相当規模の収益が生み出されるようです。
また、ITを利用しない方法であれば、「現場を見る」「観察する」といったことが挙げられます。
ITに頼ってしまうのも悪くはありませんが 、まず「現場の行動を観察する」 ことから始めてみてはいかがでしょうか。
- 新たな技術、製品、サービス活用
例えば、3Dプリンタを活用して従来では簡単にはできなかったものが、ローコストで商品化できた、といったようなものがあります。
- 事業内容 ・ 製品ライン拡大
例えば、クリーニングは近所のクリーニング屋さんに頼むのが普通でしたが、最近ではインターネットを通して、思い出の品や大切な衣類を、丁寧に綺麗にしてくれるところがあります。かなり値は張りますが、結構流行っています。
これは、同じクリーニングをする仕事でも、想いを共有し、ボタンを一つずつ外して洗濯をするなどの丁寧な仕事で、近隣のお客様だけでなく、全国の価値を共有できる新たなお客様を魅了しています。
- 市場や顧客の変化への迅速な対応
お客さまは気まぐれです。そういったお客様のニーズのちょっとした情報も蓄積し、社員で共有できるようにしておくことで、チャンスを逃がさずにお客様への心のこもったおもてなしサービスにつなげていくことができます。
- モバイルテクノロジーの投資
インターネットで情報を探したり、お買い物をしたりするのにも、スマートフォンからの利用が増えています。
特に若い世代では、パソコンを扱えない人も多いようで、若い世代をターゲットにするのなら、スマートフォン対応のWEBサイトや電子カタログ、ショップ機能も場合によっては必要になるでしょう。
以上のような、 企業の戦略的投資や経営革新のためのIT投資が行われる状態を 「攻めのIT投資」、 といわれています。
この攻めのIT投資は、大企業では 「攻めのIT経営銘柄」 として、経済産業省 と 東京証券取引所が共同で取り組んでいます。
また、中小企業では、「攻めのIT経営 中小企業百選」 が創設されています。
昨今では、それほど規模の大きくない中小企業でも、ITを使って業務改革をし、ターゲットとするお客様も 「中小企業」 から「大企業」へと変わっていったケースも見受けられ、とても心強く思います。
こうしたことから、大きな企業よりも、小さな企業の方が変革しやすいことが見て取れます。
中小企業においては、ITを使った経営はもちろんのことですが、きちんとした基本的経営管理ができていることも大切なポイントになるようです。当たり前の話ですね。
※ 参照:経済産業省 「攻めのIT活用指針」 ※ pdf ファイルが 開きます。
2015年9月15日